HOUSE STORY家づくりの物語

空を切り取る外観のシルエットが、まるで美術館のような洗練された印象を与えるT邸。メタリックなガルバリウム鋼板や、一面を窓にした空間が個性を放っています。一方、通りに面した外壁は落ち着いた木板張りにしており、表と裏の表情が異なるのも特徴。木板の外壁には規則的に並ぶ縦長の窓が付けられ、プライバシーを確保しつつ、光と風を呼び込む設計になっているのです。T邸の家づくりのテーマは「他にはない家づくり」。要望は「光がたっぷり入る明るい家」ということでした。最初に外観を見ると、その個性豊かな佇まいだけにとらわれがちですが、その形状には意味があり、機能が潜んでいることを知らされました。まず、大切にした採光は、南側に大きな開口を設け、家族が集うLDKを計画。道路面ではなく、庭に面した場所に設計することで、プライバシーを守りつつ、外部空間と融合する開放的な空間を実現しました。また、家族間のつながりも大切にしており、LDKを中心にした空間構成も見事。例えば、2階に上がったところに作られたスタディスペースは吹き抜けに面しており、LDKにいる家族の気配を感じられるように設計。子どもの宿題や読書スペース、書斎など使い方も広がりそうです。さらに、1階の和室はLDKに隣接しているため、子どものおむつ替えや、遊ばせるスペースとしても活躍してくれることでしょう。間仕切りも可能なので、客間としても活用できる使い勝手のいい畳空間となっています。暮らしのシーンを思い描きながら、住む人の暮らし方に合わせることで導き出された形。家優先ではなく、暮らし方を優先させることが、心地よさにつながるのだと教えてくれました。